事業の概況
※詳しくは、「財務データ」をご覧ください。
経営環境
平成20年度のわが国経済は、米国サブプライム問題に端を発した国際金融資本市場の動揺が9月の米国大手証券会社の破綻以降、百年に一度と言われる世界的な金融危機に発展し、実体経済にも大きな影響を及ぼすなど、世界同時不況に陥るなか、急激な円高・株安、世界経済の減速に伴う輸出の減少などを背景として大幅に悪化しました。
こうしたなか、長野県経済も世界同時不況の影響を受け、製造・非製造業ともに業況は全国平均を大きく上回って悪化しており、先行きに対する警戒感は一段と強まってきています。
金融面では、金融市場の安定確保のため、欧米をはじめとする各国中央銀行が政策金利の引き下げや潤沢な流動性供給のための整備を行うなど、積極的な対応を図るなか、日銀も20年10月と12月に各々0.2%の政策金利の引き下げを行い、リスク資産を直接買い入れるという異例の措置まで講じておりますが、金融資本市場は引き続き予断を許さない状況が続いています。当会経営にとりましては、不安定な地合いが続く株価、企業業績の悪化など、依然として運用環境は厳しい局面にありますが、リスクと収益・経営体力のバランスを勘案しながら、環境変化に適切に対応できる経営管理態勢の強化を継続的に図っていく必要があります。
農業情勢に関しては、世界的な金融危機の影響から、高止まりしていた原油価格や配合飼料の原料となる穀物相場が大幅に下落しましたが、反面、景気悪化による消費の冷え込みや輸入農畜産物の増加懸念などから、農畜産物の販売や価格への影響が心配されます。経営の大規模化、異業種からの参入など農業構造の変化や他金融機関の農業分野への攻勢が続いているなか、農業を基盤とする地域金融機関として、担い手等に対する農業金融機能の強化を一層充実させていくことが重要な課題となっています。
このような情勢のなかで、平成20年度は
- 長野県JAバンクの顧客基盤拡充と収益力強化を図る
- 総資金の最適配分を行い、安定的収益基盤を確立する
- 経営資源の充実と盤石な経営基盤の確立を図る
の3点を基本方針として事業展開を行いました。
業績
県下JA動向
当会の基盤となる県下JAの実績は、貯金では県下統一のシーズンキャンペーンおよび団塊・次世代対策商品の展開等により、平成21年3月末残高は、2兆7,895億円と前期比1.1%の伸びとなりました。また、貸出金については、依然厳しい状況下ですが、ローン営業センター等を中心にローン伸長を図るとともに当会への劣後ローン実行により、平成21年3月末残高は、8,299億円と前期比2.7%の伸びとなりました。
貯金
当会の譲渡性貯金を含めた貯金は、JAからの預かり額が増加し、期末残高は2兆1,571億円、前期比0.6%の増加となりました。
貸出金
県内経済は、前年からの原油・原材料価格高騰等に続き、米国初の金融危機による世界規模の急激な景気悪化の影響を受け、近年経験したことのない経済不況に直面しました。
このような事態を受け、日銀の二度にわたる政策金利の引き下げや、新たな中小企業向け信用保証制度の開始など政府の追加経済対策が実施されるなか、当会においては、既往取引先の支援に向け所要の資金対応を行うとともに優良貸出先の掘り起こしに注力するなど、貸出事業基盤の維持ならびに優良貸出資産の造成に努めました。
その結果、期末残高は農林中金の資本政策変更に伴う劣後ローン残高減少の影響もあり、3,469億円、前期比6.3%の減少となりました。

貯金残高の推移

貸出金残高の推移
預け金、有価証券
平成20年度の債券市場は、10年物国債利回りが4月期初の1.3%を割る水準から6月中旬にかけては急上昇し、1.9%に迫りましたが、その後はグローバルな金融危機の深刻化と世界景気の大幅悪化、日米欧中央銀行の相次ぐ利下げと金融緩和局面の長期化観測などから12月末に1.2%を割り込むなど、振れの大きい展開となりました。
一方、株式市場は、日経平均株価が昨年度末の12,525円から6月初旬にかけて14,400円台まで上昇しましたが、国内外の景気の先行き不透明感や米国金融セクターへの警戒感などがくすぶるなか、9月中旬の米国大手証券会社の破綻を機に株価は大きく水準を切り下げ、20年度1年間で35.3%の大幅な下落となりました。
こうしたなか、リスク分散とポートフォリオの改善を図りながら余裕金の効率運用に努めました結果、預け金期末残高は前期比366億円増加の1兆161億円となりました。このうち農林中金への預け金は1兆154億円となっています。また、有価証券期末残高は前期比387億円減少の8,048億円となりました。
自己資本比率(単体)
ポートフォリオの体質改善に取り組むなか、リスクシナリオ時における必要な自己資本比率の維持を目的とした自己資本増強策を講じました。具体的には、20年度を初年度とする3年間で総額約350億円の増資を計画するなか、20年度は永久劣後ローンの募集・実施等により、合計279億円の自己資本を積み増し、充実を図りました。
その結果、期末の法定自己資本比率は前年を2.44%上回る22.70%(一部弾力化措置適用後、適用前では19.88%)となりました。

自己資本比率の推移
※自己資本比率算出基準が改正され、18年度末から新基準(金融庁・農林水産省告示第2号「農業協同組合等がその経営の健全性を判断するための基準」)に基づき算出しています。
損益の状況
金融・経済のグローバル化が進展する環境のなかで、経営に対する自己責任原則を基本に、JAバンクシステムの信頼性維持・発展に資すべく経営基盤の強化ならびに財務体質の健全性維持を目標に事業を展開してまいりました。
しかし、20年9月の米国大手証券会社の破綻以降、株式相場の急落低迷、為替の円高等により有価証券評価差損が大幅に拡大した状態が続いたことから、中長期的な見地に立って長野県JAバンクにとっての最良策を検討した結果、経営のバッファー確保による安定化が必要であると判断し、ポートフォリオに対する実現損の計上により抜本的な処理を断行するに至りました。
経常収益については、貸出金利息・預け金利息などの資金収入が増加したものの、株式等売却益の減少等により、前期比49億円減少の394億円となりました。
一方、経常費用については、経営の一層の効率化・健全化に努め、経費や不良債権処理費用が減少した一方、貯金利息等の資金支出の増加や株式・受益証券を中心とした評価損の集中処理により、前期比190億円増加の573億円となりました。
その結果、当会設立以来初めてとなる赤字決算となり、経常損益については、前期比239億円減少し178億円の損失となりました。同様に、当期損益は前期比252億円減少し、当期損失金184億円を計上しました。

損益状況の推移
