事業の概況
※詳しくは、「財務データ」をご覧ください。
経営環境
平成22年度のわが国経済は、リーマン・ショック後の経済危機を脱却し、外需や経済政策による需要創出・雇用下支え効果により持ち直してきました。しかしながら、急速な円高の進行や海外経済の減速懸念により、夏以降先行き不透明感が強まり、雇用も依然厳しい状況となっています。
長野県経済も、住宅投資や設備投資については、下げ止まりあるいは持ち直しの動きとなっているものの、雇用・所得の厳しい状況から個人消費は弱く、回復のペースは依然として鈍くなっています。また、県内製造業は、政策効果のはく落懸念や為替の不確定要素などから先行きの収益には慎重な見方が多く、観光業においても、イベント等の効果を除くと、観光客の入り込みや消費額は総じて減少傾向が続いています。
こうした厳しい経済情勢のなか、3月11日に発生した東日本大震災による被害は、地震・津波による建物損壊や多数の犠牲者、ライフラインの断絶、沿岸部の農地・漁港・工場の壊滅など複合的なものとなっており、今後の原子力発電所の事故処理の行方によっては、わが国経済にさらに甚大な影響を及ぼす可能性があることから、全く予断を許さない状況です。
農業情勢については、喫緊の課題である生産性の高い農家の育成に向けての「農業・農村の6次産業化」の取り組み等さまざまな検討がなされており、農業政策はまさに大転換の渦中にあります。さらに、政府は「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」への参加を検討しています。TPPへの参加は、わが国の食料安全保障を脅かすとともに、農業を基盤とする地域経済に壊滅的な打撃を与えるものとなることから、断固反対の姿勢で動向を注視していく必要があります。
このような情勢のなかで、平成22年度は
- 農業・くらし・地域に貢献し、顧客に選ばれ成長し続ける長野県JAバンクを目指す。
- 利用者に信頼される業務態勢の確立とコストを意識した営業基盤の拡充を図る。
- 資金の効率運用に努め、安定的収益確保を図る。
- 健全経営の確保と効率的事業運営により、安定還元を可能とする経営基盤を確立する。
の4点を基本方針として事業展開を行いました。
業績
県下JA動向
当会の基盤となる県下JAの実績は、貯金では県下統一の各シーズンキャンペーンおよび団塊・次世代対策商品の展開等により、平成23年3月末残高は、2兆8,283億円と前期比0.6%の伸びとなりました。一方、貸出金については、依然厳しい状況下において、ローン等を中心に取り組みましたが、住宅ローンの伸び率低下や事業資金の低迷により、平成23年3月末残高は、7,965億円と前期比2.6%の減少となりました。
貯金
平成22年10月に東信、諏訪および南信の各支店を閉店し、本店営業部、中信支店へ業務を統合するなか、コンプライアンスを重視した窓口事務と貯金吸収に努めました。
当会の譲渡性貯金を含めた貯金は、貯金吸収への取り組みとJAからの預かり額の増加等により、期末残高は2兆2,246億円、前期比1.5%の増加となりました。
貸出金
県内経済は、自動車や家電製品の買い換え促進策や秋の大型観光キャンペーン(信州デスティネーションキャンペーン)による下支え効果が一巡すると、景気回復テンポは鈍化し足踏み状態となりました。円高進行、原材料価格高騰による受注減少やコストダウン要請の高まりから、県内の中堅・中小企業にも先行きへの慎重スタンスが増加し、これに伴い貸出金需要は運転・設備資金ともに低迷して推移しました。
このような経済情勢のなか、中小企業等の資金繰りや雇用支援策として施行された金融円滑化法の趣旨を踏まえ、既往取引先の経営支援に向けた所要の資金対応や、貸付条件の変更等を含めた経営改善支援に積極的に取り組むとともに、店舗統廃合に伴う広域エリア営業への対応と優良貸出先の掘り起こしに注力するなど、営業基盤の維持・拡充に努めました。
その結果、期末残高は3,586億円、前期比1.6%の減少となりました。

貯金残高の推移

貸出金残高の推移
預け金、有価証券
平成22年度の債券市場は、欧州諸国の財政不安の高まりや世界景気の先行き不透明感などから、安全資産とされる国債への買いが膨らみ、長期金利は8月に1%を割れると、10月の日銀による包括金融緩和策決定後には、一時0.820%まで低下しました。11月上旬の米追加金融緩和策決定後は、景気楽観論が台頭して長期金利は上昇傾向が強まり、2月中旬以降は1.2%~1.3%台での推移となりました。
一方、株式市場は、8月下旬に日経平均株価が欧州財政問題や円高進行などから9,000円を割れたものの、11月には円高の一服と米景気の回復期待から上昇基調となり10,000万円台を回復、3月上旬にかけて11,000円までのボックス圏内での動きが続きました。しかし、地震発生後は、急激な円高や原発事故により一時8,200円台まで急落、その後は為替協調介入や復興需要期待などもあり、3月末は9,755円まで値を戻しました。
こうしたなか、ALMの協議を踏まえ、余裕金の資産配分の最適化と効率運用に向けて、分散投資を基本に収益性や安全性、流動性の確保に努めるとともに、株式関連資産を中心にポートフォリオの体質改善を図った結果、預け金期末残高は前期比232億円増加の1兆677億円となりました。このうち農林中金への預け金は1兆674億円となっています。また、有価証券期末残高は前期比277億円増加の8,574億円となりました。
自己資本比率(単体)
経営安定化計画の実践に取り組むなか、経営基盤の強化・充実を図るため、特別増資期間の最終年度として、期末に回転出資金満期払戻額の後配出資金への振り替えを実施したほか、経営基盤安定化積立金を含めた所定の内部留保を実施しました。
その結果、期末の法定自己資本比率は前年を1.83ポイント上回る26.47%(一部弾力化措置適用前と適用後で同値)となりました。

自己資本比率の推移
※自己資本比率算出基準が改正され、18年度末から新基準(金融庁・農林水産省告示第2号「農業協同組合等がその経営の健全性を判断するための基準」)に基づき算出しています。
損益の状況
平成21年2月に策定した経営安定化計画をもとに財務の健全性と目標利益の確保に取り組み、適正な会員還元の実現に向けて常に全力で事業を展開してまいりました。
経営安定化計画の実践として、当計画の中心課題であるALM・リスク管理運営の改善を進めるなかで、有価証券ポートフォリオの体質改善と再構築を図るほか、経営の低コスト化、その他収益の向上などに着実に取り組みました。
経営収益については、預け金利息・貸出金利息等の資金収入の減少や、国債等債券売却・償還益の減少等により、前期比76億円減少の353億円となりました。
一方、経常費用については、貯金利息・支払奨励金等の資金支出の減少や、国債等債券償還損の減少等により、前期比103億円減少の302億円となりました。
その結果、経常利益については前期比26億円増加の51億円となり、当期剰余金については貸倒引当金戻入益の減少や繰延税金資産の取崩等により、前期比1億円減少の49億円となりました。

損益状況の推移
